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20,000mAh なのにスマホを数回しか充電できない理由 ― mAh と Wh と昇圧ロスの物理
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20,000mAh なのにスマホを数回しか充電できない理由 ― mAh と Wh と昇圧ロスの物理

「20,000mAh のモバイルバッテリーを買った。 スマホの電池は 3,000mAh だから、 単純に割れば 6〜7 回は満充電できる計算のはず」 ― そう思って使い始めると、 実際には 3〜4 回で空になります。 不良品でも誇大広告でもありません。 ここには「mAh と Wh は別物」 という単位の話と、 「電圧変換で必ずロスが出る」 という物理が横たわっています。

この記事では、 mAh と Wh の関係を整理し、 リチウムイオン電池の公称電圧の正体、 そして「公称容量の半分しか使えない」 カラクリを、 メーカー公式の数字と Node.js での検算つきで解きほぐします。

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「6 回充電できるはず」 が「3〜4 回」 になる

まず素朴な計算から。 20,000mAh のモバイルバッテリーで、 電池容量 3,000mAh のスマホを充電するなら:

20,000 mAh ÷ 3,000 mAh = 6.7 回

「だいたい 6 回ちょっと」 と期待しますよね。 ところが実機では 3〜4 回程度。 半分近くがどこかに消えています。 この差を生む犯人は 2 つです。

  1. mAh だけで割り算した ― 本来エネルギー (Wh) で考えるべきところを、 電荷 (mAh) で割ってしまっている
  2. 電圧変換のロスを無視した ― バッテリー内部の電圧と USB 出力電圧は違い、 変換のたびにエネルギーが熱として逃げる

順番に見ていきましょう。 結論を先に言うと、 「mAh は容量の単位として不完全」 で、 「実際に取り出せるのは公称の半分強」 です。

mAh と Wh は次元が違う ― 橋渡しは電圧

ここが最重要ポイントです。 mAh (ミリアンペア時) は「電荷量」、 Wh (ワット時) は「エネルギー量」 で、 そもそも測っているものが違います。

  • mAh / Ah: どれだけの電流を何時間流せるか (電荷)。 電圧の情報を含まない
  • Wh: どれだけの仕事ができるか (エネルギー)。 電圧 × 電流 × 時間

両者を結ぶには電圧が必要で、 関係式はこうなります:

Wh = Ah × 電圧[V] = (mAh ÷ 1000) × 電圧[V]

例えば 20,000mAh のモバイルバッテリー (セル公称電圧 3.7V) のエネルギーは:

20,000 mAh = 20 Ah
20 Ah × 3.7 V = 74 Wh

ここで大事なのは、 同じ「mAh」 でも電圧が違えば Wh は変わるということ。 10,000mAh のセルでも、 公称 3.7V なら 37Wh、 3.6V なら 36Wh です。 だから異なる製品を公平に比べたいときは、 mAh ではなく Wh で比較するのが正確です。 Google の電卓に「20000mAh は何 Wh?」 と入れても答えが返らないのは、 電圧という第二の情報が足りないからなのです。

リチウムイオンの「公称電圧 3.7V」 の正体

では、 その鍵を握る電圧はいくつなのか。 リチウムイオン電池の電圧は使用中に一定ではありません。 満充電で約 4.2V、 使うにつれて下がり、 保護回路が働く放電終止電圧は約 3.0V。 この間を行き来する「平均的な動作電圧」 を代表値として表したのが公称電圧 (nominal voltage) です (Adafruit の解説でも nominal=3.7V / 最大=4.2V / 終止=3.0V と説明されています)。

公称電圧は電池の化学組成で少し変わります:

  • コバルト系 (LCO) ・ 三元系 (NMC): 約 3.6〜3.7V (スマホ・モバイルバッテリーの主流)
  • リン酸鉄 (LFP): 約 3.2〜3.3V (低めだが安全性・寿命に優れる)

同じセルでもメーカーによって 3.6V 表記と 3.7V 表記が混在します。 これは正極材の違いと内部抵抗による平均電圧の差ですが、 「3.7V のほうが Wh が大きく見える」 というカタログ上の見栄えも理由の一つと言われます。 本記事およびツールでは、 モバイル機器で一般的な 3.7V を既定値として扱います。

犯人は「二重変換ロス」 ― Panasonic 公式の数字

もう一つの犯人が電圧変換です。 モバイルバッテリーのセルは約 3.7V ですが、 USB の出力は 5V。 そのため内部で 3.7V → 5V に昇圧します。 さらに受け取ったスマホ側では、 5V を自分の電池電圧 (約 3.7V) へ降圧します。 つまりエネルギーは 2 回変換され、 そのたびに一部が熱として失われます。

Panasonic の公式 FAQ は、 この二重変換をはっきり数値で説明しています。 「モバイル電源側で 3.7V→5V、 スマートフォン側で 5V→3.7V の変換があり、 片側が 70% の効率でも 70% × 70% = 49%」 という例示です。

昇圧効率 70% × 降圧効率 70% = 0.49 (49%)

その結果として、 Panasonic は「USB モバイル電源の電池容量の約 50〜60% が供給できる範囲」 とし、 計算例として「5,000mAh × 50% = 2,500mAh の電力供給が可能 (変換効率を約 50% とした場合)」 を挙げています。 つまりカタログの mAh のうち、 実際に相手の電池へ届くのは半分強、 というのがメーカー自身の見立てなのです。

変換効率は製品・電流・温度で変わるため一律ではありません。 余裕のある条件なら昇圧 1 段で 85〜90% 程度に収まることもありますが、 「相手の端末を満充電する」 という実利用では端末側の降圧ロスも乗るため、 全体ではこの 50〜60% に近づきます。

実際の充電回数を計算してみる

では Wh ベースで、 効率を明示して充電回数を計算し直します。 バッテリーは 20,000mAh @ 3.7V = 74Wh、 充電したい端末は 3,000mAh @ 3.85V = 11.55Wh とします (端末の電池電圧は機種で前後します)。

端末 1 回ぶん   = 3,000 mAh ÷ 1000 × 3.85 V = 11.55 Wh

単純 mAh 比 (ロス無視)  : 20,000 ÷ 3,000      = 6.7 回
エネルギー比 (ロス無視) : 74 ÷ 11.55          = 6.4 回
昇圧 1 段 85%           : 74 × 0.85 ÷ 11.55   = 5.4 回
二重変換 60%           : 74 × 0.60 ÷ 11.55   = 3.8 回
二重変換 50% (Panasonic): 74 × 0.50 ÷ 11.55   = 3.2 回

「6.7 回できるはず」 が、 現実的な効率では 3〜4 回に落ちることが数字で見えました。 さらに端末側の発熱・充電カットオフ・電池の劣化が乗ると、 体感ではもう少し減ります。 これが「20,000mAh なのに数回しか充電できない」 の正体です。

こうした計算は バッテリー容量換算ツール の「実効容量・充電回数」 モードで、 公称容量・セル電圧・出力電圧・効率を入れるだけで試算できます。 例えば 74Wh を出力 5V・効率 85% で見ると、 出力 5V 換算の実効容量は約 12,580mAh 相当になります。

製品裏の「定格容量」 表記にも注意

逆に、 製品の裏に「定格容量 6,660mAh」 のように、 カタログの 10,000mAh より小さい数字が書かれていることがあります。 これは出力 5V 換算で表した実効値です。 10,000mAh @ 3.7V = 37Wh を 5V で割ると 7,400mAh @ 5V、 そこに効率 90% を掛けると約 6,660mAh。 「セル基準の mAh」 と「出力 5V 基準の mAh」 を混同すると、 同じ電池が別の数字に見えてしまいます。

直列・並列と、 Wh で考えるべき場面

複数のセルを組み合わせる場合も、 mAh だけでは全体像をつかめません。 ルールは単純です。

  • 直列 (S): 電圧が加算される (容量 mAh は不変)
  • 並列 (P): 容量 mAh が加算される (電圧は不変)

例えば 18650 セル (3.7V / 3,000mAh) を 3 直列 2 並列 (3S2P) で組むと:

電圧   = 3.7 V × 3 = 11.1 V
容量   = 3,000 mAh × 2 = 6,000 mAh
エネルギー = 6,000 mAh ÷ 1000 × 11.1 V = 66.6 Wh
セル数 = 3 × 2 = 6 本

エネルギー (Wh) は直列でも並列でも「総容量 × 総電圧」 で決まり、 セル本数に比例します。 つまり本当の容量を表すのは Whであり、 mAh は電圧をそろえて初めて比較できる数字なのです。

なお、 Wh での容量把握が必要になる代表例として、 航空機にバッテリーを持ち込む際に容量 (Wh) の上限が設けられていることが挙げられます。 製品に mAh 表記しかない場合、 セル電圧を使って Wh に換算する必要が出てきます。 ただし具体的な上限値や持ち込みの可否は航空会社・路線・時期によって異なります。 計算で Wh の目安を出したうえで、 実際の可否は必ず利用する航空会社や公的機関の最新案内をご確認ください。

まとめ

  • mAh は電荷、 Wh はエネルギー。 橋渡しには電圧が要る (Wh = mAh ÷ 1000 × V)
  • リチウムイオンの公称電圧は化学組成で 3.2〜3.7V。 モバイル機器は約 3.7V
  • セル 3.7V → USB 5V → 端末 3.7V の二重変換で、 実効はメーカー公式でも約 50〜60%
  • 製品を比べるときは mAh ではなく Wh で。 「6 回充電できるはず」 が「3〜4 回」 になるのは物理的に正常

参考文献・ソース

記事作成に関する注記

本記事は AI(大規模言語モデル)を編集補助として活用して作成しています。 公開前に編集者が内容を確認していますが、事実誤認・仕様の解釈ミス・最新情報との齟齬が含まれる可能性があります。 重要な判断を行う際は、本文中の一次ソースや公式ドキュメントを必ずご自身でご確認ください。 誤りにお気づきの場合は、お問い合わせフォームよりご連絡いただけると助かります。

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