ROI と ROAS の使い分け — 「ROAS 300%」が本当に黒字か、数式で読み解く
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ビジネス(更新: 2026-08-24)7 分で読める

ROI と ROAS の使い分け — 「ROAS 300%」が本当に黒字か、数式で読み解く

広告代理店の報告書で「ROAS 300% で好調です」という一文を見たとき、その数値だけで採算を判断することはできません。原価や広告費以外の費用を含めると、ROAS 300%でも条件次第で赤字になり得ます。ROI と ROAS は一見似た指標ですが、「何を分母・分子に置くか」で意味が大きく変わります。本記事では定義と確認項目を整理します。

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定義 — ROI と ROAS は別物

最も基本的な式から確認します。

ROI (Return On Investment) = (総便益 − 総投資額) / 総投資額 × 100
                          = 純便益 / 総投資額 × 100

ROAS倍率 = 広告由来の売上 / 広告費
ROAS (%) = ROAS倍率 × 100

違いのポイント:

  • 分子: ROI は投資額を控除した純便益、ROAS は売上
  • 分母: ROI は総投資額 (広告+制作+人件費など)、ROAS は広告費のみ
  • 単位: ROI は "利益が元手の何%か"、ROAS は "広告1円あたり何円の売上が返ってきたか"

ROAS 300% は「広告1円で3円の売上」という意味。でもその売上から原価・間接費・人件費を引くといくら残るかは別問題です。

「ROAS 300% で赤字」が起きる仕組み

具体例で検証します。

ケース: アパレル EC の広告キャンペーン
  広告費         : 100万円
  広告由来の売上  : 300万円  → ROAS = 300%
  商品原価       : 売上の 50% = 150万円
  送料・決済手数料: 売上の 10% = 30万円
  倉庫・梱包     : 売上の 5%  = 15万円
  ────────────────────
  粗利           : 300万 − 195万 = 105万円
  広告費         : 100万円
  ────────────────────
  最終利益       : 5万円  (ギリギリ黒字)

  ROI (広告費ベース) = 5万 / 100万 × 100 = 5%

この例ではROAS 300%でも利益は5万円です。ROASだけでは原価や広告費以外の費用を控除した利益を示さないため、採算は費用範囲をそろえて別途確認する必要があります。

広告費以外の変動費を売上から引いた限界利益率だけで単純化すると、損益分岐ROASは「1 ÷ 限界利益率」で逆算できます。次は業界平均ではなく、率ごとの計算例です。

表が収まらない場合は、左右にスクロールできます。

仮定した限界利益率損益分岐 ROAS計算
80%125%1 ÷ 0.8
60%約167%1 ÷ 0.6
50%200%1 ÷ 0.5
30%約333%1 ÷ 0.3
15%約667%1 ÷ 0.15

税込・税抜の扱いで数値が変わる

実務で見落とされがちなのが、分子と分母の計上基準です。

  • 広告費と売上を税込または税抜の同じ基準にそろえる
  • 返金・値引き・ポイント・決済手数料をどちらへ含めるか決める
  • 期間と通貨をそろえ、比較案件にも同じ定義を使う

例えば10%課税の取引で広告費だけ税抜、売上だけ税込にすると、同じ税基準へそろえた値よりROASが高く見えます。プラットフォームや会計設定によって表示基準は異なるため、名称から推測せず各明細の定義を確認してください。

LTV と CAC — 継続購入を含む見方

ROASは、設定した対象期間の広告費と、その広告へ帰属させた売上を比較する指標です。継続購入型ビジネス (SaaS、サブスク、定期通販) では、初回購入だけの売上で獲得費用を回収できない場合があるため、対象期間と売上範囲を明示し、LTV・CAC・回収期間も分けて確認します。

LTV (Life Time Value) = 定義した顧客期間にもたらす価値
CAC (Customer Acquisition Cost) = 定義した獲得費用 / 獲得顧客数

LTV、CAC、回収期間の算定範囲は企業や資料によって異なります。解約率、粗利、サポート費、将来キャッシュフローの割引を含めるかをそろえず、固定の比率や月数だけで「健全」と判定することはできません。

アトリビューション — 売上をどの広告に帰属させるか

ROI/ROAS 計算の前提となる「この売上はこの広告から」の判定 (アトリビューション) は、見た目以上に難しい領域です。

  • ラストクリック: 購入直前にクリックした広告を 100% 帰属 — 分かりやすいが初期接触を過小評価
  • データ駆動: 利用できる経路データから各接点への配分を推定
  • 媒体横断の社内モデル: 自社の目的とデータ範囲に合わせて配分規則を定義

Google Adsは現在、主にデータドリブンとラストクリックを提供し、ファーストクリック、線形、減衰、接点ベースは廃止しています。利用できるモデルはサービスごとに異なります。モデルを変更した前後の数値をそのまま時系列比較しないでください。

観測値・モデル値とブラウザ制約

同意設定、ブラウザ制限、端末をまたぐ行動などにより、広告接点と購入を直接結び付けられない場合があります。Google Adsは、観測できないコンバージョンを一定条件でモデル推定し、十分なデータがない場合はモデル値を提供しないと説明しています。

確認する項目:

  • レポートが観測値だけか、モデル推定値を含むか
  • コンバージョン期間、帰属日時、対象チャネルが同じか
  • 注文・返金など自社の実績データと定期的に照合できるか

Chromeについては、Googleが2025年4月にサードパーティCookieの新しい単独プロンプトを導入せず、現在の利用者選択方式を維持すると公表しています。「Chromeで全面廃止予定」という古い前提で計測計画を固定しないでください。

実務チェックリスト

  1. 自社の限界利益率から求めた損益分岐ROASを上回っているか
  2. 税込/税抜を揃えているか
  3. 原価・送料・手数料を考慮した ROI を別途計算しているか
  4. 継続購入型なら LTV/CAC と Payback Period も見ているか
  5. アトリビューションモデルを一貫して使っているか
  6. 管理画面の ROAS と実売上を月次で突合しているか
  7. 媒体レポートの観測値・モデル値・帰属期間を確認しているか

まとめ

  • ROI = 純便益ベース、ROAS = 売上ベース — 同じ "300%" でも意味が違う
  • 損益分岐ROASは、広告費以外を控除した限界利益率によって変わる
  • 税込/税抜、期間、返金など分子と分母の基準をそろえる
  • 継続購入型はLTV、CAC、回収期間の定義範囲をそろえる
  • アトリビューションモデルと観測・モデル推定の範囲を確認する
  • 媒体数値を注文・返金・実利益と照合する

参考文献・ソース

記事作成に関する注記

本記事は AI(大規模言語モデル)を編集補助として活用して作成しています。 公開前に編集者が内容を確認していますが、事実誤認・仕様の解釈ミス・最新情報との齟齬が含まれる可能性があります。 重要な判断を行う際は、本文中の一次ソースや公式ドキュメントを必ずご自身でご確認ください。 誤りにお気づきの場合は、お問い合わせフォームよりご連絡いただけると助かります。

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